私の住む福井県には築100年を超え、戦前から多世帯大家族で住まわれていた伝統構法の民家が多く残っています。時代は変わり、戦後の国の住宅施策である「一世帯一住宅」により、大家族から核家族化が進み、その家族形態に最適と考えられた在来工法、枠組壁工法、プレハブ工法などが主流になり、現代ではその寿命は30年余り。住宅の耐震技術や断熱など快適に住まうための技術が発達した現代の住まいの方が、100年以上の歴史を超え残った伝統構法の住まいより、耐用年数が短いという現実。

 それは、歴史的価値のある古民家が、耐震性に優れ、日本人の先人の知恵や知識が詰まった技術的にも優れた住まいであり、それらを創った日本の匠である大工の技術力が高かったということ、そして、家を構築する全てが自然界に存在し耐用年数が長い資材を使って創られているということを物語っています。

 この素晴らしい古民家、先人たちが歴史の中で学び、考え、受け継いで来た伝統や技術を絶やしてはいけない。この残った古民家を現代の建築技術をもって再築し、次世代に引き継いでいくことこそが、建築士として、伝統再築士としての使命だと思っています。 

 そして、未来において、古民家を通じて、家族のあり方、日本人としての作法や生き方を学び、考えるきっかけとなればと思っています。

一般社団法人日本伝統再築士会福井支部
支部長 浜田 肇一